金属アレルギーへの対応(矯正編)

こんにちは、矯正担当医のひさこです。

ここのところ、立て続けに金属アレルギーをお持ちの患者さんの
矯正治療がスタートしたり、お問い合わせがあったりしましたので、
今日はその話をしたいと思いますface02

一口に金属アレルギーと言っても、その症状の部位・強さ、
また、どの金属イオンに反応しているのかは、人によって様々です。

まず思いつくのが、アクセサリーに反応することだと思いますが、
その場合はアクセサリーが触れた部分の皮膚症状で気付くことが多いでしょう。
しかし、歯科診療の現場では口腔内から感作して、
全身的に症状が出るケースにも時々遭遇します。

一般の歯科診療での、金属アレルギーについては、また別の機会にお話しするとして。。。
今回は、矯正治療に関してお話を進めます。

金属アレルギーを最も引き起こしやすいものが水銀と言われており、
次にニッケル、コバルト、錫、パラジウム・・・と続きます。

この中で、矯正治療に最も注意が必要なのが
「ニッケルアレルギー」の方です。

矯正用器具の材料には、ステンレススチールとニッケルチタン合金を
用いたものが数多くあります。
どちらの合金もニッケルを含んでいます。
メーカーや、その型によって組成は様々ですが、
特にニッケルチタン合金はニッケルの含有率が50%を超えるものもあります。

しかし、矯正治療に使われる超弾性の形状記憶ワイヤーは
ニッケルチタン合金ですので、矯正医にとって、「ニッケルチタンが使えない」
という状況となると、治療する上でかーなーりしんどく感じますface07

しかし、ニッケルアレルギーとわかっていながら、
だまってニッケル入りの材料を使うわけにもいきませんし、
歯医者をやっている以上、金属アレルギーを避けては通れませんicon05

当院では、金属アレルギー(特にニッケルアレルギーとわかっている方)には、
まず、可能であればマウスピースによる矯正を検討します。

ただ、これは難症例であればあるほど、適応が難しくなりますし、治療期間も長くなります。

難症例(抜歯を伴う症例など)の場合は、
セラミック製のブラケットを用いた治療を次におすすめします。

金属アレルギーへの対応(矯正編)
↑セラミック製のブラケットの模型。ワイヤーは、上が白、下が普通のメタル製

セラミック製のブラケットは、HPでもご紹介しているように、
表からの装置としては審美性に優れていますので、
金属アレルギーでは無い方にも人気の装置ですicon12

通常の方は、前歯はセラミック製にしても、奥の大臼歯2本は
金属(ステンレス)製の装置を使用します。

金属アレルギーの方には、この、奥歯の装置をチタン製のものにしています。

金属アレルギーへの対応(矯正編)
↑奥歯のブラケット。左が通常の金属製、右がチタン製

すべての患者さんに、このチタン製を使ってしまえばいいじゃないの・・
と思われるかもしれませんが、
チタンは、ステンレスと比べると、細かい加工が難しいため、
上の写真のように少し単純な形になってしまい。
その分、歯に細かい動きを加えにくくなる、という欠点があります。

なので、このチタン製のブラケットを使う際は、細心の注意を払って・・
場合によっては途中何回も付け替えながら・・・治療を進めます。

次にワイヤーですが、
一番安心なのは、TMAワイヤー(チタンモリブデン合金)と言われる
ニッケルフリーのワイヤーを用いることです。
通常の矯正治療では、超弾性のワイヤー→硬いワイヤーという様に
ワイヤーを使い分けるのですが、
これはちょうどその中間の性質を持ったものです。

さらに、当院では患者さんの同意の上であれば、
ホワイトコーティングのワイヤーも用いています。

金属アレルギーへの対応(矯正編)
↑上コーティングワイヤー、下通常のワイヤー

これも、ホワイトワイヤーとして、通常の患者さんにも用いているものなのですが、
このコーティングのおかげで金属アレルギーも出にくい印象です。
(絶対を保証することはできませんし、
メーカーでも金属アレルギー患者への使用は推奨されていませんので、ご了承ください)

こういった、最新の道具を揃えて、
金属アレルギーをお持ちの方も、安心して治療を受けて頂ける体制を取っておりますface05

また、金属アレルギーかどうか心配な場合は、
ぜひ治療開始前に皮膚科でアレルギーパッチテストを受けてくださいねface01

   ~託児のできる歯医者さん~
☆セントラル歯科 矯正歯科クリニック☆
長野市南千歳1-7-1 第2荒井ビル3階 
 ℡     026-266-0110

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長野市南千歳にあるセントラル歯科矯正歯科クリニックの歯科医師です。