金属アレルギーへの対応(矯正編)
2016/02/29
こんにちは、矯正担当医のひさこです。
ここのところ、立て続けに金属アレルギーをお持ちの患者さんの
矯正治療がスタートしたり、お問い合わせがあったりしましたので、
今日はその話をしたいと思います
ここのところ、立て続けに金属アレルギーをお持ちの患者さんの
矯正治療がスタートしたり、お問い合わせがあったりしましたので、
今日はその話をしたいと思います
一口に金属アレルギーと言っても、その症状の部位・強さ、
また、どの金属イオンに反応しているのかは、人によって様々です。
まず思いつくのが、アクセサリーに反応することだと思いますが、
その場合はアクセサリーが触れた部分の皮膚症状で気付くことが多いでしょう。
しかし、歯科診療の現場では口腔内から感作して、
全身的に症状が出るケースにも時々遭遇します。
一般の歯科診療での、金属アレルギーについては、また別の機会にお話しするとして。。。
今回は、矯正治療に関してお話を進めます。
金属アレルギーを最も引き起こしやすいものが水銀と言われており、
次にニッケル、コバルト、錫、パラジウム・・・と続きます。
この中で、矯正治療に最も注意が必要なのが
「ニッケルアレルギー」の方です。
矯正用器具の材料には、ステンレススチールとニッケルチタン合金を
用いたものが数多くあります。
どちらの合金もニッケルを含んでいます。
メーカーや、その型によって組成は様々ですが、
特にニッケルチタン合金はニッケルの含有率が50%を超えるものもあります。
しかし、矯正治療に使われる超弾性の形状記憶ワイヤーは
ニッケルチタン合金ですので、矯正医にとって、「ニッケルチタンが使えない」
という状況となると、治療する上でかーなーりしんどく感じます
しかし、ニッケルアレルギーとわかっていながら、
だまってニッケル入りの材料を使うわけにもいきませんし、
歯医者をやっている以上、金属アレルギーを避けては通れません
当院では、金属アレルギー(特にニッケルアレルギーとわかっている方)には、
まず、可能であればマウスピースによる矯正を検討します。
ただ、これは難症例であればあるほど、適応が難しくなりますし、治療期間も長くなります。
難症例(抜歯を伴う症例など)の場合は、
セラミック製のブラケットを用いた治療を次におすすめします。
↑セラミック製のブラケットの模型。ワイヤーは、上が白、下が普通のメタル製
セラミック製のブラケットは、HPでもご紹介しているように、
表からの装置としては審美性に優れていますので、
金属アレルギーでは無い方にも人気の装置です
通常の方は、前歯はセラミック製にしても、奥の大臼歯2本は
金属(ステンレス)製の装置を使用します。
金属アレルギーの方には、この、奥歯の装置をチタン製のものにしています。
↑奥歯のブラケット。左が通常の金属製、右がチタン製
すべての患者さんに、このチタン製を使ってしまえばいいじゃないの・・
と思われるかもしれませんが、
チタンは、ステンレスと比べると、細かい加工が難しいため、
上の写真のように少し単純な形になってしまい。
その分、歯に細かい動きを加えにくくなる、という欠点があります。
なので、このチタン製のブラケットを使う際は、細心の注意を払って・・
場合によっては途中何回も付け替えながら・・・治療を進めます。
次にワイヤーですが、
一番安心なのは、TMAワイヤー(チタンモリブデン合金)と言われる
ニッケルフリーのワイヤーを用いることです。
通常の矯正治療では、超弾性のワイヤー→硬いワイヤーという様に
ワイヤーを使い分けるのですが、
これはちょうどその中間の性質を持ったものです。
さらに、当院では患者さんの同意の上であれば、
ホワイトコーティングのワイヤーも用いています。
↑上コーティングワイヤー、下通常のワイヤー
これも、ホワイトワイヤーとして、通常の患者さんにも用いているものなのですが、
このコーティングのおかげで金属アレルギーも出にくい印象です。
(絶対を保証することはできませんし、
メーカーでも金属アレルギー患者への使用は推奨されていませんので、ご了承ください)
こういった、最新の道具を揃えて、
金属アレルギーをお持ちの方も、安心して治療を受けて頂ける体制を取っております
また、金属アレルギーかどうか心配な場合は、
ぜひ治療開始前に皮膚科でアレルギーパッチテストを受けてくださいね